人民元切り上げ観測について

yoshihironaito2005-05-12

昨日東京午後5時ごろ、「来週にも人民元が切り上げられる」との観測記事が
伝わり、ドル円も連れて一時104円台に下落したものの、中国側が否定した
ため、値を戻しました。今日は事の発端が「誤訳」だったというニュースが一斉に
流れました。娯楽担当の翻訳が、休暇中の市場関係担当者の代わりに訳したらしい。
噂だという文言を忘れ、「市場は切り上げを望んでいる」と訳したらしいです。
これを受けた中国側スポークスマンは「ロイターやブルンバーグは信用しない」と
コメントしたそうです。
極端だと思うかもしれませんが、私はこの気持が分かる気がします。やや被害妄想的に事の次第を
見ると、この事故は「予行演習」的な要素があったのではないか、との憶測も出来るからです。
事実、実際に切り上げを実施する前の地ならしが必要だからといった市場コメントも出てきて
ますし、米側が切り上げを望んでるのが明白だから。個人的な意見としては、以下のWSJに一票。

1980年代と90年代初め、米国は増え続ける貿易赤字の責任を日本に転嫁し、対日姿勢を硬化
させた。米国は、日本円を切り上げなければ制裁を与えると日本に圧力をかけ、日本は不本意
ながら米国に屈服した。しかし米国の貿易赤字と日本の貿易黒字はともに増え続けた上、日本に
デフレと景気後退をもたらした。現在、米国の貿易赤字は5年前よりほぼ倍増。今回「被告」
役になったのは中国だ。ワシントン(米政府)は中国への対策のため、日本バッシングに使った
何年も前のからくりを再び引っ張り出してきた。
中国のレート操作の有無は、答えを出せない問題だ。経済アナリストによれば、「通貨操作」は
根本的に不可能だからだ。米財務省も、「通貨操作」の法的な意味合いを整理するために3月に
発表したレポートの中で、この点を認めている。人民元の対米ドルレートは過小評価されて
いない。国際通貨基金IMF)の最近の報告でも、人民元の大幅な過小評価があったことを納得
させる証拠はないと述べている。
人民元レートを調整しても、米国の貿易赤字は減少しないだろう。米国が製品の輸入元を中国
から他の国に変えるだけだ。人民元が切り上げに追い込まれた場合、最も直接的な結果として
不景気とデフレが生じるおそれがあり、これは中国にとって貿易制裁よりも大きな脅威になる。
人民元が25%切り上げられると、デフレ率は最低でも15%に達するとみられる。
人民元の切り上げ要求は、中国の主権に対する侵害だ。IMFの合意条項によれば、加盟国は自国の
通貨制度を自由に選択することができる。
米国は、誤った前提下で拙速な判断を下すのをそろそろ止めるべきだ。世界最多の人口を持つ
国を敵に回し、しかも不法な手段を取るのは、賢明でないばかりか危険ですらある。

関係ないですが、写真はマカオ風景