物は言いよう

私と個人的に面識のある方は知ってらっしゃると思いますが、私は円金利に関する
仕事をしています。某銀行さんが5年で1%超の預金を作っていると聞き、そんなに
調達コスト出していいものかと思ったのですが、内容を良く見ると「10年まで延長
される条件付」でした。よくあるデリバティブ預金なのですが、10年の預金で
5年で解約される条件付」と書くのと5年の預金で「10年に延長される条件付」
と書くのと、全く商品が同じでも聞こえ方が違ってきます。物は言いようですね。
確かに、5年債の金利水準を知っていらっしゃる方は「5年1.1%」の広告を
見ると「おおっ!」と思うと思います(私も思いました)。なぜなら国債で運用しても0.5%も
つかないのに定期預金でそんなに払ってくれるなら、これはお得だからです。ところが「当行の
判断により5年延長される可能性があります、その場合後半の金利は1.25%です」という条件が
ついているのです。10年債のレベルを知っている方は、「それじゃ、10年国債を買ったほうが
ましだ」ということに気付かれるでしょう。ポイントは「可能性があります」というところ。
現時点では延長される可能性が殆どです。(このクーポンでキャンセラブル・スワップを作ると
ボラティリティが0%でもおつりが来ます。)…文言の使いまわしの勝利ですね。